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蔵書 › 毛沢東選集 第五巻 › 社会主義革命と社会主義建設の時期(一)

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国家の財政・経済状態の基本的好転のためにたたかおう

毛沢東 · 一九五〇年六月六日

縦書きで読む毛沢東選集第五巻

国家の財政・経済状態の基本的好転のためにたたかおう

(一九五○年六月六日)

これは、毛沢東同志の中国共産党第七期中央委員会第三回総会における書面報告である。

当面の国際情勢は、われわれにとって有利である。ソ連を先頭とする世界の平和と民主主義の陣営は、昨年よりもいっそう強大になった。平和をめざし、戦争に反対する世界各国人民の運動は、発展している。帝国主義の抑圧からぬけだそうとする民族解放運動は、幅広く発展している。なかでも、とくに注目にあたいするのは、アメリカの占領に反対する日本人民とドイツ人民の大衆運動がもりあがったこと、東方の被抑圧諸民族の人民解放闘争が発展していることである。同時に、帝国主義諸国のあいだの矛盾、主としてアメリカとイギリスのあいだの矛盾も発展した。アメリカのブルジョア階級内部における各派の争いや、イギリスのブルジョア階級内部における各派の争いも、増加している。それとは反対に、ソ連および人民民主主義諸国は相互によく団結した関係にある。偉大な歴史的意義をもつ新しい中ソ条約〔1〕は、両国の友好関係を強固なものにして、一方では、われわれがわりあい速いテンポで、思いきって国内の建設活動をすすめることができるようにし、他方ではまた、全世界人民の、平和と民主主義をかちとり、戦争と抑圧に反対する偉大な闘争をおしすすめている。帝国主義陣営からの戦争の脅威はあいかわらず存在し、第三次世界大戦の可能性はあいかわらず存在する。しかし、戦争の危険をおしとどめ、第三次世界大戦の勃発ぼっぱつを防ぐためにたたかっている勢力は急速に発展しており、全世界の大多数の人民の自覚はたかまりつつある。全世界の共産党が、結集できるすべての平和と民主主義の勢力をひきつづき結集し、それをさらに発展させさえすれば、新たな世界戦争はおしとどめることができる。国民党反動派のまきちらす戦争についてのデマは、人民をたぶらかすものであり、根拠のないものである。

いま、わが国の状況はつぎのとおりである。中華人民共和国の中央人民政府と各級の地方人民政府はすでに成立した。ソ連、人民民主主義諸国およびいくつかの資本主義国が、あい前後してわが国と外交関係をむすんだ。戦争は大陸で基本的におわり、台湾と西蔵チベットの解放だけがのこされているが、これはやはり重大な闘争任務である。国民党反動派は、大陸のいくつかの地域で匪賊ひぞく的なゲリラ戦の方式をとり、一部の濱後分子を扇動して、人民政府とたたかわせている。国民党反動派はまた、数多くの秘密の特務やスパイをつかって人民政府に反対し、人民のあいだにデマをばらまいて、共産党と人民政府の威信を傷つけようとたくらみ、各民族、各民主階級、各民主政党、各人民団体のあいだの団結と協力をうちこわそうとたくらんでいる。特務やスパイどもはまた、人民の経済事業にたいして破壊活動をおこない、共産党と人民政府の要員にたいして暗殺の手段をとり、帝国主義と国民党反動派のために情報をあつめている。これらすべての反革命活動は、いずれも帝国主義、とくにアメリカ帝国主義が背後で糸をひいているのである。これらの匪賊や特務やスパイは、いずれも帝国主義の手先である。人民解放軍は、一九四八年の冬に遼瀋、淮海、平津の三大戦役で決定的な勝利をおさめたのち、一九四九年四月二十一日に長江渡河作戦を開始してから現在にいたるまでの十三ヵ月半のあいだに、西蔵、台湾およびその他の若干の海上の島をのぞくすべての国土を占領し、国民党反動派の軍隊百八十三万と匪賊のゲリラ隊九十八万を殲滅した。また、人民の公安機関は、大量の反動特務組織と特務分子を摘発、逮捕した。いま、人民解放軍は、新解放区ではひきつづき残存匪賊を掃滅する任務をもち、人民の公安機関は、ひきつづき敵の特務組織に打撃をあたえる任務をもっている。全国の大多数の人民は、共産党、人民政府および人民解放軍を熱烈に支持している。人民政府は、ここ数ヵ月のあいだに、全国的な範囲で財政・経済工作の統一的管理と統一的指導を実現し、財政収支の均衡をかちとり、インフレを抑制し、物価を安定させた。全国の人民は、食糧の供出、租税の納付、公債〔2〕の買入れという行動によって人民政府を支持している。昨年、わが国は広大な地域が凶作で、およそ一億二千万畝ムー①の耕地と四千万の人民が大小さまざまな水害や干害に見まわれた。人民政府は、被災者にたいする大規模な救済活動を組織し、多くの地方で大規模な水利建設をおこなった。ことしの作柄は昨年よりもよく、夏の収穫は一般によさそうである。秋の収穫もよければ、来年の状態はことしよりもいくらかよくなるものと思われる。帝国主義と国民党反動派の長期にわたる支配は、社会経済の不正常な状態をつくり出し、膨大な失業者群を生んだ。革命が勝利してのち、ふるい社会経済構造の全般にわたってさまざまな程度の再編成がすすめられているため、失業者がさらにふえている。これは大きな問題であり、人民政府は段どりをおってこの問題を解決するために、失業者の救済と就業のための対策をとりはじめた。人民政府は広範な文化・教育活動をすすめており、すでに広範な知識分子や青年学生が新知識の学習に参加したり、革命活動に参加したりしている。人民政府は、工商業の合理的な調整、公私関係と労資関係の改善についていくらかの仕事をしたが、現在もひきつづきこの仕事に大きな力をいれている。

中国は国が大きく、状況がきわめて複雑で、革命はまず一部の地域で勝利し、そのあとで全国的な勝利をかちとったのである。こうしたところから、総じて旧解放区(人口ほぼ一億六干万)では、土地改革が完了し、社会秩序が安定し、経済建設が軌道にのりはじめ、大多数の勤労人民の生活が改善され、失業労働者と失業知識分子の問題もすでに解決されたか(東北)、あるいは解決に近づいている(華北および山東)。とくに東北地方では、もう計画的な経済建設がはじまっている。新解放区(人口ほぼ三億一千万)では、解放されてからまだ数ヵ月、半年、あるいは一年にしかならないので、まだ辺ぴな地方に散らばっている四十余万の匪賊を掃滅しなければならず、また、土地問題はまだ解決されておらず、工商業はまだ合理的に調整されておらず、失業現象がまだきわめて深刻で、社会の秩序もまだ安定していない。一言でいえば、計画的に経済建設をおこなう条件がまだととのってはいないのである。そこで、わたしは、つぎのように述べておいた。われわれがいま経済戦線でおさめた一連の勝利、たとえば、財政収支が均衡に近づき、通貨の膨脹がやみ、物価が安定にむかっていることなどは、財政・経済状態の好転しはじめたことをしめしているが、それはまだ根本的な好転ではない。財政・経済状態を根本的に好転させるためには、三つの条件が必要である。すなわち、(一)土地改革の完成、(二)既存の工商業の合理的な調整、(三)国家機構が必要とする経費の大幅な節減である。この三つの条件をかちとるのには、かなりの時間が必要であり、およそ三年、あるいはもうすこし多くの時間が必要であろう。全党および全国人民は、この三つの条件をつくり出すために奮闘努力しなければならない。わたしもみなさんも、これらの条件は確実に三年前後のあいだにつくり出せるものと信じている。そのころには、わが国の財政・経済状態全体の根本的な好転を目にすることができよう。

このためには、全党および全国人民は、一致団結して、次の仕事をなしとげなければならない。

(一)土地改革の仕事〔3〕を、段どりをおって、順序よくすすめていく。大陸では戦争が基本的におわり、一九四六年から一九四八年までの状況(人民解放軍が国民党反動派とのあいだに食うか食われるかの闘争をおこない、勝敗がまだきまってはいなかった)とはまったくちがっているので、国家は融資の方法で貧農の困難解決をたすけ、貧農の手にはいる土地がいくぶん少ないという欠陥をおぎなうことができる。そこで、富農にたいするわれわれの政策を改めるべきである。すなわち、農村の生産をすみやかに回復させるのに役立ち、また地主を孤立させ、中農を保護し、零細な土地貸付者を保護するのにも役立つよう、富農の余分の土地や財産を徴収する政策から、富農経済をのこしておく政策に改めるべきである。

(二)財政・経済工作の統一的管理と統一的指導をつよめ、財政収支の均衡と物価の安定を確保していく。この方針のもとで、税制を調整し、人民の負担を適宜に軽減する。統一的計画、全般的配慮の方針のもとで、経済の面における盲目性と無政府状態をしだいになくし、既存の工商業を合理的に調整し、公私関係と労資関係を有効適切に改善し、社会主義の性格をもつ国営経済の指導のもとで各種の社会経済要素に分業と協力をおこなわせ、それぞれにその役割をはたさせ、こうして社会経済全体の回復と発展をうながす。一部には、資本主義を早めに消滅し、社会主義を実行してもよい、と考えているものもいるが、このような考えはまちがっており、わが国の実情にあわない。

(三)台湾と西蔵の解放、国防の強化、反革命の鎮圧などのために十分な力が保障されるという前提のもとで、人民解放軍は、一九五〇年に、その主力を保持しながら、一部を復員させるべきである。この復員の仕事は慎重におこない、復員軍人が帰郷後おちついて生産にたずさわれるようにしなければならない。行政部門の編制がえも必要であるが、やはり編制がえによる剰員が仕事や学習の機会を得られるよう、適切に処理しなければならない。

(四)従来の学校教育事業と従来の社会文化事業にたいする改革の仕事を、段どりをおって、慎重におこない、すべての愛国的知識分子を獲得して人民に奉仕させるようにする。この問題では、ぐずぐずして、改革をしたがらない考え方は正しくないが、あまりにも性急に、乱暴なやり方で改革をしようとする考え方も正しくない。

(五)失業労働者と失業知識分子の救済活動に真剣にとりくみ、失業者が就職できるよう、段どりをおって援助しなければならない。被災者の救済活動にひきつづき真剣にとりくまなければならない。

(六)各界の民主人士と誠実に団結して、その仕事の問題や学習の問題の解決をたすけてやり、統一戦線活動のなかにある閉鎖主義の傾向と妥協主義の傾向を克服しなければならない。各界の人民を結集してともに活動していけるような各界人民代表会議②を成功させるよう、真剣にとりくまなければならない。人民政府のすべての重要な問題は、人民代表会議の討議にかけて決定すべきである。人民代表会議に出席する代表たちには十分な発言権をあたえるべきで、人民代表の発言をおさえつけるような行動はすべて誤りである。

(七)人民に危害をあたえるすべての匪賊、時務、極悪ボスおよびその他の反革命分子は、断固として粛清しなければならない。この問題では、鎮圧と寛大を結びつけた政策、すなわち、首謀者はかならず処罰し、強迫されて従ったものは追及せず、手柄をたてたものには賞をあたえるという政策を実行すべきで、どちらか一方にかたよってはならない。全党および全国人民は、反革命分子の陰謀活動にたいして警戒心をたかめなければならない。

(八)党組織の強化、拡大についての中央の指示、党と人民大衆の結びつきの強化についての中央の指示、批判と自己批判をすすめることについての中央の指示、全党の整風についての中央の指示を、断固として実行する。わが党はすでに四百五十万人にまで拡大しているため、今後、党組織の拡大は慎重におこなう方針をとらなければならず、投機分子が党にはいるのを断固として防ぎ、投機分子を適切な方法で党から一掃しなければならない。自覚した労働者を段どりをおって党に吸収し、党組織における労働者の構成比を拡大するように心がけなければならない。旧解放区では、一般に農村で党員を吸収するのを停止しなければならない。新解放区では、土地改革がおわるまでは、投機分子が機に乗じて党内にもぐりこむのを防ぐため、一般に農村での党組織の拡大をやめるべきである。全党は、一九五〇年の夏、秋、冬の三つの時期に、さまざまな活動任務と切りはなさず、これと密接に結びつけるという条件のもとで、大規模な整風運動をおこなうべきである。われわれは、いくつかの指定文献を読む、活動を総括する、情勢を分析する、批判と自己批判を展開するなどの方法で、幹部および一般党員の思想水準と政治水準をたかめ、活動のなかで犯した誤りを克服し、功労者気どりのおごり高ぶった気持ちを克服し、官僚主義と命令主義を克服し、党と人民との関係を改善しなければならない。

注

〔1〕 一九五〇年二月十四日に調印された中ソ友好同盟相互援助条約をさす。

〔2〕 中央人民政府が一九五〇年に発行した人民勝利実物換算公債をさす。

〔3〕 全国の新たに解放された地区では、一九五〇年の冬から、つぎつぎに大規模な土地改革運動がくりひろげられ、一九五二年の冬までに、一部の少数民族地域を除いて、ほぼ土地改革が完了した。全国の新、旧解放区には、土地のない農民と、土地を少ししかもっていない農民がおよそ三億いたが、かれらには約七億畝の土地が分配された。

訳注

① 一畝は六・六六七アール。

② 一九四九年の『中国人民政治協商会議共同綱領』の規定によると、普通選挙による地方各級人民代表大会が成立するまでは、各界人民代表会議を招集して、それに人民代表大会の権限を逐次代行させることになっていた。

著者
毛沢東
原著
一九五〇年六月六日(1950年)
底本
『毛沢東選集』第五巻、外文出版社(北京)、1977年。電子化テキスト: http://maoist.web.fc2.com/mao/maosen/5/maosen-5-text.lzh
掲載根拠
保護期間中(未公開)
備考
著者没年 1976。中国は死後50年(2027-01-01 満了)、日本は死後70年(2047-01-01 満了)。外文出版社の日本語訳は法人著作として別に保護される

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